2014年 8月06日 曇り 
   欅平から黒部ダム(黒部ルート見学会)

  黒部峡谷の欅平と黒部ダムを結ぶ「黒部ルート」は、黒部川第四発電所の建設などに伴って工事用軌道として整備されたもので、立ち入ることが出来た
  のは工事関係者だけでしたが、電源開発の軌跡と電気事業への理解を目的として、平成8年から見学会が開催され一般の人も抽選で見学できるように
  なった。(見学会の応募倍率は3倍から5倍)
  6月始めに見学希望日を記入したハガキで申込み、6月末に8月6日分の当選連絡と参加準備に関する書類が、見学会事務局から送られてきた。
  黒部ルートはすべて地下トンネル区間で、各乗り物は工事用設備のため一般交通機関と比べ車内は狭く、振動や騒音も大きいため快適とは言えない。
  また、集合場所と解散場所は欅平と黒部ダムなので、トロッコ列車やアルペンルートの交通費(1万円強/1人)が必要になる。

〈行程〉
 8月06日(水)     
   東富山駅(5:52)・・・滑川駅(地鉄に乗換え(6:12)・・・宇奈月(7:06)トロッコ列車(7:35)・・・欅平(8:48))受付(9:20)工事用トロッコ(9:50)
  ・・・立坑エレベータ(10:05)・・・展望台(10:10)上部専用鉄道(10:20)・・・高熱隧道(10:40)・・・仙人谷(10:47)休憩(10:55))・・・黒部川
  第四発電所(11:00)見学(11:40)インクライン・・・作廊谷(12:00)黒部トンネル・・・樽沢横坑(12:10)休憩:裏剣岳(12:30)・・・黒部ダム駅
  (12:50)昼食・・・黒部湖駅(14:20)ケーブルカー・・・黒部平(14:40)ロープウェィ・・・大観峰(15:15)トロリーバス・・・室堂(15:25)・・・
  美女平(16:20)・・・立山駅16:30)休憩(17:25)・・・電鉄富山駅(18:28)

 JR、富山地鉄宇奈月線、
 黒部峡谷鉄道(トロッコ列
 車)を乗り継ぎ、欅平に到
 着する。
 欅平からは古い凸型電気機
 関車に切換え、客車3両と
 食糧運搬車両を引き立坑エ
 レベーターがある駅の奥の
 専用線へ向かう。

 天候は曇り空。列車を乗継ぎ黒部峡谷の欅平に到着する。見学会の受付まで30分ほど時間が有ったので、奥鐘山の人食岩まで散策する。
 9:10 受付手荷物検査、金属探知機による身体検査を済ませ待っていると、次の列車で来た参加者が受付を行う。参加者は全員で28名、見学会での注意事項等簡単な説明の後、ヘルメットを被り黒部ルートに入る専用線の客車へと乗込む。
 列車は欅平駅からトンネルを500mほど進むと、スイッチバックし隣りの路線へ。100mほどバックすると、そこには立坑エレベーターがあり、客車を降り貨物用の大きなエレベーターに乗込み、標高800mの上部専用軌道まで200m上る。
 立坑エレベーター
  昭和14年、黒部川第3
 発電所取水口の「仙人谷ダ
 ム」の建設のためつくられ
 た輸送ルート。
   積載重量は4.5d  
 上部軌道の列車に乗る前に横坑から展望台に出る。
 正面には県境の山、後立山連峰の白馬槍ヶ岳(2,903m)天狗の頭(2,812m)を見ることが出来る。


 今度はバッテリーカーが引張る全長6.5kmの上部専用軌道に乗換え、黒部川第四発電所に向かう。客車は12名乗りの耐熱車両、トンネルの内径が小さく客車の天井も低いため、乗降りで頭(ヘルメット)をぶつけることしばし。
 車内では、この専用軌道建設の経緯や建設の苦闘などの説明を受けながら進む。15分ほど進み客車のドアを開けると硫黄の臭いがしてきて、高熱隧道部に差掛かる。ドアから手を出すと外気が熱い。
 (仙人谷ダムダムからの導水管で冷却しているので現在は40℃ほど、掘削当時はMax165℃にもなっていた。) 
    
記録小説「高熱隧道」 吉村 昭(著)
 客車を引張るバッテリー
 機関車(BB73)。
 高熱隧道掘削作業の状況
 欅平から5.7Km、仙人谷上の鉄橋で停車 標高は859m
黒部川第3発電所の取水ダム「仙人谷ダム」上部専用軌道は
このダム建設のために造られた。ダムの背後には剣岳から
伸びる尾根が続いている。
 少し進むと2002年NHK紅白歌合戦で中島みゆきが「地
上の星」プロジェクトXのテーマを歌った場所を通りすぎ、
12:00 上部専用軌道の終点黒部川第四発電所に到着する。
 
   黒部峡谷の地下深くにつくられた黒部川第四発電所は、作った電気を関西に送る送電
  口以外は全て地下にある。
   見学者用の部屋で発電所の概要や黒四建設の経緯や苦闘の記録について説明を受け、
  その後実際の発電機室や水車と発電機をつなぎ回転している軸等を近くで見学する。
 

   
 

 黒四からは、インクラインと呼ばれる貨物運搬用のケーブルカーで、標高1,325mまで標高差456m、34度の勾配を、20分掛け登る。途中、インクラインの中央で黒部ダム出発の見学会参加者とすれ違う。
 インクラインの上部からは、10.3kmの黒部トンネルを専用バスに乗って黒部ダムに向かうが、このトンネルには堀った土砂を外へ出す横坑が
5か所にあり、その内の2番目の「樽沢横坑」分岐でバスを降りる。外気温は6℃、半袖では寒い。薄暗い坑道を少し歩くと外気が入り、暖かくなっから150mほどで横坑の出口に出る。その場所は黒部峡谷の秘境、十字峡の近くの斜面。鉄格子の扉を開け外に出ると、正面には裏側からの剣岳を見ることが出来るが、その頂は雲に隠れ剱岳の切立った岩峰を見ることは出来なかった。 
 黒部トンネルを専用バスで黒部ダムへ、このトンネルには堀った土砂を外へ出す
 横坑が5か所。樽沢横坑の分岐から150mほど歩くと鍵がかけられた鉄格子の扉が
 ある! 鍵を開け外に出ると正面に裏側からの裏剣の雄姿を見ることが出来る。
 しかし、今日は剣の頂は雲の中
、切立った岩峰を見ることが出来なかった。  
 15分ほど剱岳の方向を眺めていたが、雲が晴れることはなかった。バスに戻り横坑分岐から20分ほどで、扇沢からのトロリーバスが走る関電トンネルと合流し、バスを降り見学会は黒部ダム駅で終了。黒部ダムからは大観峰、室堂を経由し、アルペンルートを立山駅に下ります。

 この黒部ルートは普通には見れない景色や体験ができ、また、厳しい自然条件を克服し黒部の電源開発の歴史に、深く感銘した3時間余りの見学会でした。

 
 来年は紅葉の季節に逆ルートでの見学に応募を予定にしていますが、北陸新幹線が開業する来年(2015年)以降、黒部ルート見学会の応募は増えると予想され、いっそう狭き門になると思われる。
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